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インタビュー

医療・介護 チームを繋ぐたすき 前編

今回は函館脳神経外科指定居宅介護支援事業所の管理者としてご活躍中の宮城さんにお話を伺いました。

いきいき:本日はお忙しいところお時間をいただきましてありがとうございます。 宮城さんの普段のお仕事の内容をお聞かせください。
宮城さん:居宅介護支援事業所で介護支援専門員をしております。職場では管理者と介護支援専門員として業務にあたっております。普段の仕事の内容は、介護保険のサービス利用に係る全般です。利用者さんやご家族から相談を受けた時に、在宅での生活を継続するために介護保険サービスの利用が必要な場合は居宅サービス計画書を作成して、それらに基づいてサービス調整をする仕事をしています。
いきいき:“管理者”と言いますと、具体的にどのようなポジションになるのでしょうか?
宮城さん:役割としては、事業所の運営が適切に行われるように、従業者の管理を一元的に行うのですが、当事業所は、私を含めて2名というとてもこじんまりとした小さな事業所ですので、あまり管理者的なことはしていないのかな…と思っています。何かあれば二人で相談しながら業務を行っています。
いきいき:利用者さんはどのようなルートでこちらにいらっしゃるんですか?
宮城さん:主に電話が多いですね。入院患者さんがこれからご自宅に帰るというときに担当の医療相談員の方から紹介を受けたり、市役所が作成した居宅介護支援事業所の一覧表を利用者さんが見て、住所がたまたま近いので、という理由で電話を受けたり、様々な形で問い合わせや依頼が来ます。

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いきいき:この業界で働く事になったキッカケを教えていただいてよろしいですか?
宮城さん:あまり深く考えた事がなかったのですが、よくよく考えると子供のころの祖父や祖母との生活がこの道を選んだきっかけになったように思います。私にはちょっとした事情で祖父が三人、祖母が三人おりまして、その中で育ってきました。両親が共働きだったので、小学校、中学校の時は祖母が夕食を作ってくれたり、小さい頃は祖母が遠足に一緒に付き添ってくれたり、両親の帰りが遅いときには祖父と一緒に布団で寝たりとか、とてもかわいがってくれました。もしかすると介護や福祉に興味を持ったキッカケはそのような生活環境だったからなのかなと思います。
高校3年生の時、ギリギリまで将来何をするのか、どんな仕事をするのかを考えていなかったんですけれど、担任の先生に福祉の方向に行くという進路はどうか?というアドバイスをいただきました。
いきいき:では高校を卒業されてすぐに介護・福祉のお仕事に就かれたんですか?
宮城さん:いえ、福祉関係の短期大学に進学しまして、その後専攻科で1年勉強して介護福祉士という資格を取得しました。その後函館脳神経外科病院に就職しました。
いきいき:何年ぐらいの勤務になるんですか?
宮城さん:かれこれ、もう24年目に突入しました。
いきいき:実際のお仕事以外での介護業界との接点や活動があればお話しいただけますか?
宮城さん:中村会長や越尾副会長が所属している函館市居宅介護支援事業所連絡協議会で、副会長をさせていただいています。あとは自立支援勉強会という多職種の幹事で活動している勉強会がありまして、そちらの幹事もしています。
いきいき:自立支援勉強会の活動内容を教えてください。
宮城さん:幹事は本当に多職種で、急性期病院の看護師や理学療法士、デイサービスの職員、施設の相談員など様々です。2か月に1回勉強会を開いています。
テーマや内容は自由なもので、その時に学びたいことを企画して、講師をお呼びして勉強します。例えば、感染が流行り出す12月であれば、ノロウィルスの勉強をするとか、その時節に知りたいことを幹事の中で案を出し合って決定しています。今月(4月)も30日に開催するんですが、今回は介護保険の制度改正があったのでその内容について勉強することになっています。
いきいき:皆さんでテーマを決めるからこそ、現場で役立つ勉強ができそうですね。
宮城さん:はい、次の日から実践できることが沢山ありますね。
いきいき:この介護業界で気になる事や、もっとこうすればいいのではと思う事などありましたらお聞かせいただけますか。
宮城さん:介護保険制度が始まったのは、医療費の抑制や、生活の場を施設から在宅へ、いつまでも住み慣れた地域で生活できるようにというのが目的なのですが、数年前から言われているのが、医療と介護の連携なんです。これは2025年問題などを国が見据えて推奨しているんですね。地域包括システムの構築が数年前から言われているのも、2025年問題を見据えてのことです。
いきいき:2025年問題というのは…
宮城さん:団塊世代の方達が後期高齢者になる年ですね。認知症の高齢者は今は450万人位ですが10年後には700万人になると言われています。が、実際その時になってみないと、どれくらい大変なことが起こるのか正直わからないですよね。現在は介護職が不足しているということで、施設の方々は大変難儀していますが、いろいろな問題が発生している中で、今から準備できる事も一杯あるのかなと思います。先々の事を考えていろいろなことを予測しながら知識を身に付ける事や、多職種の勉強会などで日々学ぶというのが大事だと思っています。
あとは、当院は急性期で脳外科という専門特化している病院なのでなおさら感じるのかもしれませんが、医療従事者の方にもっと介護保険制度や在宅での要介護者の生活状況を知ってほしいなと思います。と言いますのが、やはりそこを知っていないと、身体的障害があっても自宅退院が可能だということを患者さんやご家族にお話できないと思うのです。患者さん本人はもちろんのこと、ご家族の方も、脳血管疾患等で身体に障害が残った状況を見たとき、もう家での生活は無理、介護は無理だと思ってしまうんです。でも医療従事者に介護保険制度についての知識があることで「こんなサービスを利用すると自宅でも生活できますよ」とか「こんなことを身に付けると楽に介護できますよ」というように、入院当初から患者さんやご家族にアドバイスできて、それが在宅介護に繋げていけるのではないかと思うからです。
いきいき:以前、石川さんにお話しを伺ったところ、病院の先生方が主体となっている会(在宅ケア研究会)があると聞きました。そういう集まりにもっともっと来てほしい、参加してほしいということですね。
宮城さん:そうですね。私達も待っているばかりではなくて、そのような方達に発信していくという義務もあると思うんです。そうすることで、患者さんやご家族の考え方を施設から在宅へとシフトできるのではないかと感じています。
ケアマネジャーになってから15年経ちましたが、今でも利用者さんから学ぶことが沢山あります。今でも様々な相談を受けた時に、わからなくて調べたり、他の人に聞いたりということが沢山あるんですね。でも、一度勉強しても忘れてしまっている事などが日々あるんです。そんな時に、研修会等で知識を身に着けておくことが本当に大事なんだなと感じます。
いきいき:それだけ利用者さんに多種多様の対応が求められているということなんですね。
勉強会の大切さを改めて感じます。
宮城さん:当院に就職した時は、介護福祉士として病棟で3交代勤務をしていました。当院の病院の理念に、「チーム医療」「思いやりの心」「連携」というのがあるんですけれど、病棟にいた時チームで動くというのがすごく大事だなと思ったんですね。一人の患者さんに対して医師をはじめ看護師、介護福祉士、看護助士、栄養士、リハビリスタッフ、医療相談員、検査技師、事務職の方々、みんなが一緒に目標を共有しながら一人の患者さんに関わるというチームの連携の大切さを学びました。その後、介護支援専門員になってからはさらにそのことを強く思うようになりました。病院の中であれば同じ建物の中で同じ顔を毎日合わせて、そこで連携をはかることができるのですが、介護支援専門員は、今まで全く顔をあわせたことがない事業所の職員さんとやりとりをしたり、それも数か所の事業所ともなると、どう連携をはかっていけばよいのか、介護保険制度が開始された当初はすごく難しさを感じました。でも今は多職種で交流する場が非常に増えましたし、サービス担当者会議で目標を共有するということが定着していますので、難しさは感じておりません。病院の中で患者さんに関わるということも、自宅にいる利用者さんに関わるということも、チームで連携していくということはとても大事なことなんだなと感じています。

次回は引き続き宮城さんに、お仕事のやりがいなどについてお伺いしたいと思います。

宮城智美

居宅介護支援事業所連絡協議会 副会長 函館脳神経外科指定居宅介護支援事業所
管理者/主任介護支援専門員/介護福祉士
自立支援勉強会 幹事

宮城智美

旧南茅部町生まれ、函館育ち。幼少の頃から祖父母と暮らしたことが自然に介護・福祉への道を歩むキッカケとなる。福祉関係の短大を卒業後、介護福祉士の資格を取得。函館脳神経外科に勤務して24年となる。休日は、スキーを楽しむ他、毎日の仕事を終えた後は少林寺拳法とマラソンに取り組むなどスポーツが大好きでアクティブなご様子。日々、病院の理念でもある「チーム医療」と「思いやりの心」を大切にし、駅伝のたすきを繋ぐのと同様に、職場では利用者さんが元気になるために様々な職種のスタッフと力をあわせ医療と福祉のたすきを繋いでご活躍中。

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