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インタビュー
コミュニケーションが 人を助け自分を助ける 前編
今回は指定居宅介護支援事業所入船で介護支援専門員として勤務されている所さんにお話を伺いました。
- いきいき:本日はお忙しい中、お時間をいただきましてありがとうございます。それではまず、所さんの普段のお仕事の内容をお聞かせいただけますか。
- 所 さん:はい。利用者様の紹介を受け、面接・アセスメント・ケアプラン作り…ケアマネジャーのルーティンワーク、それぞれの利用者様がどうしたらいいのかを考えるのが普段のお仕事です。高齢者の方の生活を支援するためには、本人だけではなく支援している家族も視野に入れて支援しなくてはなりません。サービス利用の際、どのように過ごされたのか心配されますので、状態等、都度伝えてあげると安心されます。特に長年支えあってきたご夫婦の場合は、初めてのことでとまどいますので、安心していただけるよう気を付けています。 もともと、老人ホームで働いていて介護の基盤は老人ホームです。”介護負担の多い方は施設を利用することで安心できる”と言う思いで仕事をしてきました。平成18年から、系列の居宅介護支援事業所入舟でケアマネジャーになって、在宅ケアの立場から高齢者の支援を考えると、介護に対する思いは同じなのですが、お家(在宅)での暮らしを繋げたいと言う思いが強くなりました。 「一人暮らし」や「老人介護」が多くなり、地域との繋がりが少なくなってきているのでサポートすることが大変です。どの様な支援の仕方がいいのかと考えます。けれど、それだけじゃなくこのかかわりを持った利用者様たちに、何かもっと私と出会えて「よかったなぁ」と思ってもらえないか…みたいな、意外と仕事からはみ出たことを私はしているかもしれないなと思いますね
- いきいき:決まった業務の他に利用者さんの喜ばれることはどのようなことかを考えるということでしょうか
- 所 さん:そうですね。利用者様のお宅に行って、モニタリングをして…というのは当たり前なんですけれど、訪問の時に色々な話題を提供したり、笑い話をして一度は笑顔になってもらえるようにしています。「歳をとると腰が痛くなってね」って話をすると、「80歳になればもっと酷いんだよ」と返答がある。それからアッチも痛い、コッチも痛いと、痛いところの自慢合戦。言葉のキャッチボールが好きですね。歳を経てきたからわかる辛さとか、想いとか、30代ではわからなかったことがこの歳になってわかる。わかって支援ができる。それが楽しみです。待ってくれていることをひしひしと感じながら仕事をしています。 現場が大好きです。利用者様やご家族と話していることが好きですね。生活の場を見ると、困っているところや、短時間では見えないことも発見できますし。つい長居をしてしまうことも。だからでしょうか?デスクワークが滞りがち…いつも反省しています。
- いきいき:営業向きですね。
- 所 さん:いえ、実はすごい人見知りなんです。営業や外回りの仕事は絶対できないと思ってます。人前で話す事は緊張するし、心臓がバクバクして話せなくなるんです。利用者様やご家族、サービス担当者様とお話をして行くうちに、話のポイントや相づちのタイミング等…、ここで働き始めてからたくさん学ばせてもらいました。普段のお仕事は、ルーティンワーク、プラス、訪問先に行って話すことですね。
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- いきいき:積極的にコミュニケーションを取ることに重点を置いているということですね。
- 所 さん:1カ月に一回のモニタリングの訪問の際、利用者様の支援の方法や不足している事や過剰なことはないか?と、考えたり話したりします。サービスを直接支援している事業所様からも連絡をいただけるので、支援が必要な家庭には月に何回も行きます。他のケアマネジャーも同じだと思いますが、今フォローが必要と感じた時、デスクワークをそっちのけで行きます。一日がその対応で終ってしまう時もあります。
- いきいき:では次のご質問ですが、勤務以外での介護業界とのかかわりや活動についてお話をお聞かせ願いますか。
- 所 さん:函館市居宅介護支援事業所連絡協議会の事務局をさせていただいています。それと、ケアマネットの会員です。ケアマネジャーの資格を取った時は施設にいました。介護保険制度が始まった年ですね。現場で先輩の教えを受けながらただひたすら働いていました。ケアマネジャーの資格を取っても、施設のケアマネジャーの仕事が良く分からない状態だった時、ケアマネットが施設向けのケアマネジャーの研修会を開催してくれました。他の施設のケアマネジャーの方々と知り合って、仕事や介護保険の事がちょっとわかりかけたところ、前任者の退職があり、急に居宅勤務になりました。でも、教えてくれる人は誰もいませんから、わからないことが多すぎて…なので、いろいろな研修会に参加しました。
- いきいき:情報収集ですね
- 所 さん:そうです。ケアマネットや居宅連協でケアプランやモニタリングの勉強会ですとか、北海道介護支援専門員協会、外部からの研修会、とにかくいろいろな研修会に参加しました。今の職場に来てから感じたのは、コミュニケーション不足だったり、洞察力だったり、自分でやれてないことが一杯あることに気づきました。そして、過去に、社会福祉の勉強をしたといってもすごく昔なので、改めて学びたいと思い、社会福祉士の資格を取りたいと思いました。スクーリングでいろいろな職種の方と知り合えて楽しかったですね。
- いきいき:いろいろな視点から物事を見られると言うのもあるんですね。
- 所 さん:ここではずっと一人仕事です。デイサービスと一緒なのですが、仕事の内容や勤務時間が違うため、どんどん自己流に。それは「まずいかな?」と思って、皆どんなふうに仕事しているのか?どんな形で仕事に関わっているのかな?ということを色々なところで色々な人に聞いて、自分なりの仕事のスタンスを持ちたいと思っています。
- いきいき:では次にこの業界に入ることになったキッカケをおきかせいただけますか。
- 所 さん:キッカケですか、私は保母だったのですが、体調を壊したり、結婚や出産もあって仕事から離れていました。子育て中、家に来ていたヤクルト屋さんがやめることになって、急遽ヤクルトレディに。その時、回っていたお家に80歳過ぎの元看護師さんがいらっしゃって「近所に介護老人保健施設が建つから働いてみないかい?」「あなたね、これからの世の中お年寄りの時代だから、あなたその仕事しなさい」って言われたんです。当時、私は再就職は「保母」と思っていましたから、まったくこの介護業界に入る気持ちは無かったのです。そうしたら、友人が別な老人保健施設のお掃除をしていて、そこの施設の事務長さんが、「うち(愛泉寮)で働かない?」って声をかけてくださったんです。これがこの業界に入る キッカケなんですよ。だからヤクルトの販売をしていなかったらここに居なかったかも知れないですね。
- いきいき:これらの人達の出会いが偶然ではないような感じがしますね。
- 所 さん:今、ケアマネジャーをしているなんて本当に全く考えてなかったですね。短大卒業の時も保母や幼稚園教諭になることが当たり前…みたいだったんです。その中に介護施設に勤めた方がいました、20歳で高齢者の施設で働くということは当時の私には全く考えられなかった。その後、30代になり施設で働いたんですが、あっと言う間に20年。本当にいろいろと学ばせてもらいました。介護業界への転身のキッカケは本当に自分からというより、周りからという感じがします。
- いきいき:保母さんのお仕事も、介護のお仕事も優しくないとできないですものね
- 所 さん:いやいや、自分が優しいなんて思わないです。でも、きっと、”人”が好きなんですね。
- いきいき:ヤクルトレディーもそうですけれど、利用者さんと接すること、人と接することなんですね
- 所 さん:ヤクルト販売の仕事も勉強になりました。引っ込み思案といいますか、人見知りなのに、知らないお宅にいくんです。「ヤクルトいりませんか」って…今考えると、その経験は、すごく勉強になりました。あと、ゴルフのキャディーのお仕事もしました。
- いきいき:やっぱり人と接するのがお好きなんですね。(笑)
- 所 さん:キャディーのお仕事をしている時も、気の合うお客様も気の合わないお客様もいらっしゃって、私に対する印象が全然違っていました。例えば、キャディーの見習い中、勉強のため、上手なお客様の組に入って一緒に回ってキャディーの動き方を学ぶんです。一緒に何人かでラウンドするんですが、その何人かのうちの一人が「今日のキャディーさん新人さんだったけど頑張ってたね」と「なんなのあのキャディーさん」というように、評価が分かれるんです。やはり「受け取る人によって違う」という思いと、自分のどこが悪かったのか?考えました。でも、振り返ってみると本当に人と関わってばっかりでしたね。(笑)
- いきいき:人とかかわるトレーニングも必要ですけれど、気持ちの持ちようというのも難しいと思います。介護にかかわるお仕事をしていくうえで切替なども大事だと思いますので、その部分もすでに養われていたのですね。
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次回は引き続き所さんに、介護業界への期待と希望についてお伺いしたいと思います。
社会福祉法人函館共愛会
指定居宅介護支援事業所入船
介護支援専門員/介護福祉士/社会福祉士/精神保健福祉士
所輝美
北斗市生まれ、函館育ち。保母として社会人のスタートを切るが出産をのため休職。子育てをしながら復帰の準備を進める間ヤクルトレディーとして販売業に携わる。その時に出会ったお客様との会話がキッカケとなり介護・福祉の道へ転職を遂げ、介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得し介護業界20年となる。休日は、三線、英会話、歌を歌う、パークゴルフなど多趣味で活発なご様子。日々、コミュニケーションと人との繋がりを信念にご活躍中。
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