ホーム > インタビュー > 体験する機会の創出 技術に+ハート<前編>

インタビュー

体験する機会の創出 技術に+ハート<前編>

今回は地域密着型特定施設入居者生活介護事業所ゆう、施設長の佐々木エリカさんにお話を伺いました。

いきいき:普段のお仕事の内容をお聞かせください。
佐々木さん:普段は施設の運営や管理、介護支援専門員の仕事も兼務しています。小規模多機能や施設のケアプランを作成していますので、在宅と施設の両方をマネージメントしています。
いきいき:綺麗な施設ですね。始められてどれくらい経つのでしょうか。
佐々木さん:平成24年3月30日にオープンしました。私は開設1年後から勤務させてもらっています。
いきいき:勤務以外での介護業界との接触や活動などがございましたら、教えてください。
佐々木さん:個人で参加しているものですが、今は全国的になっているDFC(NPO認知症のフレンドシップクラブ)というのがありまして、函館支部で他のケアマネジャーさんと一緒に活動させてもらっています。
このフレンドシップの中でラン伴という、たすきを全国につなぐというものがありますが、3年位前からホームの前を中継地点として使っていただいてます。平成28年は、当施設の利用者さんである認知症の方々と、一緒にたすき作りをしながら参加するということで、テレビの取材なども来て「イチオシ!」という番組で紹介していただきました。
いきいき:ラン伴の運営自体のお手伝いもされつつ、走ることにも参加されたということなのですね。
佐々木さん:その他にも、前回インタビューされていた佐々木恵さんもメンバーなのですが、函館市内と近郊の方々の有志で、福祉未来の会という会を作り、自分たちが勉強したい事などを、専門の講師の先生をお招きし、年二回、講演やトークライブというような形で開催しており、一般の方にも知ってほしい事もありますので、そういう働きかけのできる機会を作るためにメンバーの方々と活動しています。

続きを読む

いきいき:講演やトークライブ等で、一般の方々のためになるな、というお話がありましたらひとつ教えてください。
佐々木さん:平成28年に行った中で、若年性認知症の方にお話をしていただいたのですが、実際に一般の方もたくさん来てくださいました。この方はトヨタ自動車に勤められている方ですが、ご自身の病名が診断されるまでの間、いろいろ病院を巡ったり周囲の理解を得ていく中で、会社ぐるみのパックアップで、今もお仕事を続けられているというお話を伺いました。
若年性認知症についてご本人の話を聞ける機会というのはなかなか無く、実際に30代の方が函館に来てお話してくださるということは、理解を深めるきっかけになったのかなと思います。
いきいき:高齢者に限らず若い方にも是非来ていただきたいですね。
佐々木さん:今、介護支援専門員、ケアマネジャーになりたいという若手がいらっしゃらないんですよね。いろいろな所でケアマネジャーの研修会などをやっていますが、一般の方々が足を運んでくれる講演の機会を多く作ることによって、介護支援専門員や介護の仕事について「なりたいな」と思ってもらえれば良いと思います。
日本介護協会でやっている、介護甲子園というものがあって、参加している介護福祉士の方がすごくキラキラしているんです。自分たちの夢や目標をきちんと持っていて、そういう方々が身近にいて憧れの先輩などができると「自分もああなりたいな」と思えると思います。 私自身が施設の中に入ってみると、こういう先輩になりたいと思える人材が乏しいのかなと思う時があります。 高校生の進学説明会に行くと、その中でも「力が弱いのかな、介護業界」という感じがしていますね。
いきいき:説明会のみで魅力を伝えるのは難しいですよね。若い方々が実際に介護をしてみて、自分たちが良さを見つけて感動できるような機会があると良いですね。
佐々木さん:今、函館市内の小学校はノーマリー教室といって、特養や高齢者施設の見学などをしています。実際、桔梗小学校さんに何回か来ていただいた事があって、その時に高齢者の特徴や福祉用具の説明をしました。今、高齢者の方と同居している子どもは少なく、一緒に楽しくゲームをしたりする等、触れ合う機会を持つことによって「おじいちゃんおばあちゃんって優しいんだな、こういう仕事もあるんだな」ということを学ぶことは本当に大事だなと思います。
日中私たちの世代は外に出ていて、街の中にいるのは子どもと高齢者です。そこでお互いに優しい気持ちで見守っていくという視点は、子どもたちにも必要ですし、高齢者の方たちは元々そういう視点をお持ちだとは思いますが、そこがうまく繫がっていくと、本当に安心できる街になってくるのではないかと思います。
いきいき:この業界で働くことになったきっかけを教えてください。
佐々木さん:私は以前、准看護士として市内の病院に5年ほど勤めていましたが、子どもができて退職しました。その後子どもが小学生になり時間に余裕が出てきたので、仕事をしたいなと思った時に、ちょうど介護保険が始まって1年くらい経った頃だったんです。福祉や介護の知識は全くありませんでしたが、興味を持ち、それがきっかけでパートで勤めた所が訪問介護や訪問入浴をやっている所で、その後療養型の施設に勤務してケアマネジャーの資格を取りました。
いきいき:医療業界と介護業界、どちらも経験されて、何か気づかれた点はございますか。
佐々木さん:病院はインフォームドコンセプトといって治療方針なども話し合いながら決めます、という流れになっていますが、どちらかというとお医者さんが主導だと思います。でも介護保険というのは、あくまでもご本人を中心にしての選択になっていきますので、それが普段の関わり方などの中でも、やはり違うのかなと思います。
いきいき:看護師の経験は介護において、すごく役に立つのかなと思います。
佐々木さん:そうですね、良いときもあれば悪い時もあるんですよ。実際お医者さんが忙しいのを目の当たりにしているから「こんな事で先生に相談して良いのかな?」と思う時もあります。でも利用者さんに必要なことであれば、相手が忙しいとか関係無く行っちゃいますけど(笑)。

次回は引き続き佐々木さんに、この業界で気になることや今後の展望をお聞きしました。

佐々木エリカ

地域密着型特定施設入居者生活介護事業所ゆう 施設長 介護付有料老人ホームゆう 施設長
小規模多機能ホームゆう 施設長

佐々木エリカ

函館生まれ、函館育ち。市内の病院にて准看護士として勤めていたが、出産を機に退職。介護保険がスタートし、1年が過ぎた頃、育児に時間の余裕が出てきたことをきっかけに介護業界へ。パートにて訪問介護・訪問入浴を経験し、その後療養型の施設に勤務しケアマネジャーの資格を取得。現在は地域密着型特定施設入居者生活介護事業所ゆうの施設長を務め、施設の運営や管理をすると共に介護支援専門員も兼務し、日々ご活躍中。

インタビュー

制度の中でも 最大限のサービスを<後編>制度の中でも 最大限のサービスを<前編>否定しないで 寄り添って<後編>否定しないで 寄り添って<前編>体験する機会の創出 技術に+ハート<後編>体験する機会の創出 技術に+ハート<前編>自分ができること 子どもたちに託すこと<後編>自分ができること 子どもたちに託すこと<前編>頂上のない山を登る人 受け継ぐ人<後編>頂上のない山を登る人 受け継ぐ人<前編>良いスパイラルで繋がる<後編>良いスパイラルで繋がる<前編>ここに相談して良かったと思えるように(後編)ここに相談して良かったと思えるように(前編)その人らしく生きるお手伝い 後編その人らしく生きるお手伝い 前編コミュニケーションが 人を助け自分を助ける 後編コミュニケーションが 人を助け自分を助ける 前編医療・介護 チームを繋ぐたすき 後編医療・介護 チームを繋ぐたすき 前編介護保険と本当のニーズ 後編介護保険と本当のニーズ 前編知識や技術よりも大切なもの 後編知識や技術よりも大切なもの 前編繋がるネットワーク 業種を越えて 後編繋がるネットワーク 業種を越えて 前編高齢者の方にとっての理想と施設介護 後編高齢者の方にとっての理想と施設介護 前編快適な生活スタイルをコーディネイト変わり行く高齢者のニーズ頼られる存在であり続けるために

ページの先頭へ