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インタビュー

その人らしく生きるお手伝い 後編

今回も引き続き四戸さんに業界で今、気になることなどについてお話を伺いました。

    
いきいき:では、この業界で今、気になること、こうなればいいのにと言う事はありますか?
    
四戸さん:ちょうど8月1日から介護保険の負担割合が改訂されて、今までは一律1割負担だったんですが利用者さんの中には2割負担になった方がいらっしゃるんです。7月末に負担割合証が送られてきて、それを見るとあなたは1割ですよ、2割ですよって言うのが確認できるんですが、単純に利用料が倍になるんです。そうするとやはりけっこう大きい負担額になるので、連協の幹事会でも利用控えしてる人がいたよという話もありました。まだまだそう言う問題が出てくるんじゃないかなと思うんです。その負担割合証に関しては8月1日から貯蓄や株券なども全部収入と考えるんですが、今までは本当に入ってきたものだけでショートステイの食事代や居住費などが決まっていたところ、今後は貯蓄部分も含めて収入として考えるんです。そうするとケアマネジャーの中では「私たちが通帳や貯蓄を見せてくださいっていわなきゃならない立場になってしまう、それもちょっといやだよね」って話題になるんです。アセスメントとして、「厚生年金ですか?国民年金ですか?」「どんなお仕事されてたんですか?」と確認する事もたくさんあるんですけど、さすがに今まで貯金の金額を聞いたことは無かったので、実際に気分を害された利用者さんもいらっしゃって「なんでそんなことまで言わなきゃならないの」という方や、施設を利用の方のご家族がやっぱり納得いかないって施設に説明を求めたり、と言う話が聞こえてきてます。
函館でも来年度から6包括が10包括になりますし、その中でもどこの包括がどこの地域を担当するかによって雰囲気が違うので、居宅支援も関係してくるのかなとおもったり、平成29年度になると、介護予防事業が地域支援事業に切り替わったり、この2~3年でどんどん変わるんです。そうなると介護保険制度自体が今後どうなるのかなと思います。
いきいき:利用者さんに資産情報を確認しなければいけないのは困りますね。
    
四戸さん:そうですね。負担割合証で1割となっている方は良いとしても、2割になってショートステイとか施設を利用する方や、また、ショートステイと施設の食費と居住費は貯蓄が関係してくるので1割で来ていても、貯蓄が1千万以上ある方は、今まで2段階の方でも4段階になる現象が出てくるんです。基本的にはご家族やご本人に申請してもらうのが1番いいんですけど、ご自身ではできない方もいらっしゃるので、私たちが説明やお手伝いをさせてもらっています。
また、今まで1割負担が当たり前だったのが、2割負担になると、介護員の”質”、施設の”質”がやはり求められてくるんじゃないかなと思います。

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いきいき:サービス付き高齢者向け住宅についても今後介護のサービスが必須になったり、いろいろ制度の変更が出てくるかもしれませんよね。
    
四戸さん:そうですね、実際、サ高住では同一建物へのヘルパーの提供が今年度4月から減算になってますし、金額の面で変更は多いなと思います。
あと、居宅介護支援事業所に居るといろいろ問題にも直面するんですけど、昔みたいに沢山の子供さんもいらっしゃらないですし、子供さんがいてもその子供さんが先に亡くなられたり、まったく疎遠になったり、兄弟がいらっしゃっても、身寄りの全くない方がいらっしゃるんです。ですから居宅介護の時も一番困るのは、やはり財産の管理とか入院・手術の同意、あと施設入所に関する同意なんです。要するに身元引受人なんですが、以前勤務していた居宅支援事業所でも成年後見制度を利用して財産管理をしてもらうと言うケースはけっこうあったんですが、成年後見人の方は入院の同意や施設入所の同意は書かないんです。今では、民間の会社で契約して月々費用を払って身元引受人を引受ける会社はあるんですが、ある程度財産がある方でないと利用できないし、年金だけで生活されていて身元引受人がいない方を施設としてどうするか。中には受け入れてくれる施設もあるのでそちらにお願いするしかないねっていう話が出たり、サ高住でも身元引受人が誰もいないんだけど入れてくれますかって言う問い合わせも実際にあるんです。そこで受け入れてもらえないとその人はどこへ行くの?って言う問題に直面しています。
介護保険だけでは賄えきれない部分が本当にたくさんあるので、施設入所ばかりではなくて、そこを今後どこがやっていくんだろうって言うところもあります。サ高住を見ているとその辺のことを思います。
いきいき:本当に考えなければいけないことがたくさんありますね。
お仕事をしていて楽しかったことや悲しかった事など、エピソードがあればお聞かせいただけますか。
    
四戸さん:やはり笑顔を見せてもらえると私たちもうれしいです。デイサービスって行きたくて行く利用者さんと、絶対いやだって言われる利用者さんと極端に分かれるところがあって、一度説得して行ってもらうと意外と楽しく通えて、多少無理にでもあの時勧めてよかったとか、デイサービスばかりじゃなくて買い物に行きたかったらヘルパーと行けるとか、本当に”その人がその人らしく”自宅で生活ができたのをみるのはやはり私たちがうれしい事かなと思いますね。
あと、末期ガンなどのターミナルケア(終末医療)の方なども病院から依頼を受けて対応させて頂くこともあるんですけど、今はターミナルケアでも病院でやってることを家でもできるので、最期を家で迎えたいって言う人をお家に帰すときも介護保険が必要なんです。帰宅後、五日~一週間で亡くなる方もけっこういらっしゃって、ご家族もその間大変でしょうけど、お家に連れて帰ってきてよかったって言ってもらえると、嬉しいと言うと誤解を生むかもしれないですけど私たちもよかったって思うんです。自宅で家族の様子を見ながら、いつも見た家の雰囲気を見ながらその中でいると先生に言われたよりも予後長くいらっしゃる方もいますし、本当にいい最期を過ごせる方もいらっしゃるんです。
自分で一生懸命勉強しなければならないことがたくさんありますけど、各サービス事業所さんに協力してもらわないとできないんです。例えば医療処置は我々はできないので、本当に訪問看護さんにはお世話になっていて、医療との連携や、看護師さん、お医者さんとの連携が必要かなと思います。今は、お医者さんも理解があって、お家に帰ることに理解を示してくれるようになったので、こちらもやりやすくなった面もあるんです。
いきいき:いろいろな情報交換もなされるようになってきていますから、風通しが良くなったんですね。
    
四戸さん:あと辛いことといいますと、嬉しかった事の逆ですね。ちゃんとできなかったとか、私じゃなくて、他のケアマネジャーさんだったらもっと良い支援ができたんじゃないかっていつも思うんです。施設入所っていうのも最後は亡くなるっていうことがあるので、これでよかったんだろうか?と常に想います。
その他、最近は虐待のニュースとかを良く聞きますよね。ただ、虐待って本当にその人の家族を憎くてとか、いやで叩いたりしているのではないと思うんですよ。”お父さんが外出して転んだら困る、事故に遭ったら困る、だから縛ってしまう”そう言う想いから来るんじゃないかと思うんですよね。だから一生懸命介護をしている方が、虐待の方に走らざる得ない状況になるのは辛いなといつも思うんです。ちゃんとケアマネジャーが居たりとか、ヘルパーさんを使っていたりしてもご家族負担は大きいんです。介護保険では賄いきれないことがたくさんあるので、そう言う介護者も利用者さんの辛いことや大変なことを私たちが少しでもやわらげてあげることができればいいなっと思います。お話聞くぐらいしかできないんですけどね(笑)。ずっと介護者の方と喋っていることもあるんです、でもそれでもいいのかなと思うんです。ケアマネジャーって直接手を出して何かができる立場ではないので、ほんとにどんどん話してねって言うんです。話してくれる人は自分の介護の負担もうまく息を抜きながらできてる方だと思うんですが、人に辛いことを言えない人は、ちょっと行き詰まってしまうかもしれないですよね。本当は私たちがそれをどこかでこじ開けてあげないといけないんですけど、難しいというか歯がゆいところではあるんです。少しでもいいので話をしてもらえるとこちらもいろんな方法を提案できるんですけど、そこを気付けないこちらも力不足だし、なんでそこを気付けなかったかなぁって思いますし、ちょっと間違った介護をしてしまった部分が大きいのかなって思うのがまた辛いんです。
いきいき:「いきいき60+」についてどのような感想をお持ちですか。
    
四戸さん:拝見しましたら情報が一覧になっているのと、料金も皆さんが気にする所なので、わかりやすく出ていて見やすくてすごくいいなと思いました。私たちが相談を受けて施設を探す時は、パンフレットを見て直接電話をするのがほとんどなんですけど、一覧があると、単体じゃなくてわかりやすいですね。あとは空き状況が確認できるとよりいいなと思いましたね。
あと、私の周りでこのサイトを知ってる人がほとんどいなくて。もう少し居宅や包括の事務所に働きかけるといろいろな人が見てくれると思いますよ。
いきいき:もっと皆さんに認知していただけるよう頑張ります。
では最後に、休日のお過ごし方やプライベートの時間はどのように過ごされていますか。
    
四戸さん:ソフトバレーボールをやっています。通常のバレーボールのように固くないゴム製の柔らかいボールで、バトミントンのコートサイズにネットの高さは2メートル、1チーム4人で競技します。子供からお年寄りまで楽しめる生涯スポーツなんです。週2回、夜に学校開放で練習して、月1回か2回は日曜日に大会があるんです。7月は日曜日の4週全部に大会がありました。函館でソフトバレーボールは盛んで、道内でも一番チーム数が多く、函館ソフトバレーボール連盟が主催する大会が毎月あったり、全道大会が年3回あるんです。その他に北斗市のソフトバレーボール連盟が主催する大会があったりします。私の所属チームでは75歳の最高年齢の方と一緒に練習していて、私の担当する利用者さんより年上の方もいらっしゃるのですが、皆さんお元気です。75歳の方や始めたばっかりの方ですと大会に出場しても一方的な試合になってしまうので、そういう方だけを対象にした大会も市内ではあるんですよ。全国的にはねんりんピックやシルバーフェスティバルなどもありまして、今年度のシルバーフェスティバルは大阪で開催されるんですけど、全道の予選で函館のチームが優勝して出場するんです。
プライベートはほとんどそこですね。平日は残業があっても「練習のある日は定時に帰るよ」て職場には言ってあって、帰宅して準備して、19時には体育館に行って21時まで練習するので練習の日には早く帰りたいので平日頑張るんです。それにこの業界ではソフトバレーボールやってらっしゃる方多くて、相談員さんとか介護員さんとか、病院のソーシャルワーカーさんとか仕事でお会いして、「だれだれさんチームですよね」ってお互いで驚いて、「こないだはどーもー」「今度出る?」みたいな感じで仕事の繋がりもできたりするんです。
いきいき:ソフトバレーボールは柔らかいボールを使いますから、例えば怪我をしにくいとか、4人なので集まりやすいんですね。あと運動不足の解消や、ストレスの発散にもなりますよね。
    
四戸さん:そうですね、ボールをたたいているとストレスも発散できると思いますね。大会の後の打ち上げも楽しみですしね。
いきいき:四戸さん。今日は本当に長い時間ありがとうございました。そろそろインタビューを終わりたいと思います。
    
四戸さん:こちらこそ、ありがとうございました。

介護する側も、される側も、環境を整えるのは本当に大切なんですね
四戸さんお忙しいところ長時間本当にありがとうございました。

四戸悦未

社会福祉法人心侑会 居宅介護支援事業所あい
管理者・主任介護支援専門員/

四戸悦未

函館生まれ、函館育ち。管理栄養士として病院で15年勤務するが体調を壊し退職。その後ヘルパーの資格を取得し、続いてケアマネジャーの資格も取得するのをきっかけに介護業界へ転身を遂げる。休日はライフワークであるソフトバレーの連盟理事を務めるかたわら自身もプレヤーとして毎週のように行われる大会に出場。幅広い年齢層で楽しめるソフトバレーの普及のため大会運営や普及などの活動を行う。”その人らしく生きる”お手伝いができるよう利用者とその家族、事業者と医療機関との連携を大切にして日々ご活躍中。

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