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インタビュー

介護保険と本当のニーズ 後編

今回も引き続き中村さんに介護業界についての希望などを伺いました。

いきいき:居宅介護支援事業所連絡協議会の会長職もされていますが、協議会ではどのような活動をされているかお聞かせください。
中村さん:介護保険が平成12年から導入されました。導入されるまでは行政が主体の協議会がありましてそちらの会に出席していたのですが、介護保険がスタートし、行政主導ではなく新たに運営実施主体が中心となって協議会を運営してほしいという要請がありました。平成12年になる年には通所介護訪問入浴事業所連絡協議会を立ち上げ、そちらの活動が主でしたが、平成14年に、当時から居宅介護支援事業でケアマネジャーも兼務しておりましたので、居宅介護支援事業所の協議会も是非立ち上げてほしいという要請があり、有志一同で立ち上げに至りました。
函館はデイサービス訪問入浴の他、居宅介護支援、ヘルパー、訪問看護、訪問リハビリ等の在宅サービスの連絡協議会がありますが、数年前までは、この協議会とさらには行政も加わって、6連協という、制度の改定に関する事や、在宅サービスの状況等の情報交換会を行っていたんです。平成18年からは、包括支援センターの協議会も立ち上がり、連携に努めております。
いきいき:それだけたくさん役員をされていると、平日や仕事が終わられてからの活動は大変ではないでしょうか?
中村さん:そうですね、目的としては事業所間での親睦もあるのですが、やはり一番の目的は研修事業になるんです。ですから、研修会の企画も考えなければなりませんし、法改正があった場合にはスムーズに運営されているかどうかの確認や、会員事業所からの質問への対応もあります。また行政からの依頼事項も間に入ってやらなければいけません。法改正があると特に忙しくなりますね。

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いきいき:前回インタビューさせていただいた越尾さんもおっしゃっていたのですが、特に若年の経験の浅い方が中村さんにいろいろ質問をして勉強をして少しずつ経験を積んでゆく環境を作るというお話を聞いたのですが…
中村さん:そうですね、質問や勉強というスタンスであればいいのですが、時折苦情という形で問い合わせが来ることもあります。
いきいき:介護保険が導入された頃の様子をお聞かせください。
中村さん:平成12年に介護保険が導入されるまでは、いわゆる措置の時代でしたから、利用者さんが主体ではなく、どっちかと言ったら、「利用させてやる~」みたいな事業所主体というイメージが強かったですね。
当時は、たとえば、定員20人規模のデイサービスセンターがあったとしたら、20人分の委託費を4期にわけて受領するんです。ですから利用者さんが来ないほうがご飯も作らなくていいですし、お風呂のお湯も使わないですし、車代もかからないし、来なきゃ来ない方が儲かったっていう時代でした。 ところが介護保険が始まって“利用した方の分しかお金を出さない”という形態になってから、はじめてこれは大変だと事業所もあわてだしたんです。 わたしは逆でして、頭を下げられてお給料をもらえるのか、こんなことはありえるのか、と思っていました。「ありがとうございました」って言って初めてお給料をもらえるのが普通の一般社会ですから。
いきいき:では、具体的にこの業界についてこうした方がいいんじゃないかという考えはございますか?
中村さん:以前は国主導だったものが市町村(自治体)へという流れになってきています。進んでいるところでは、地域包括ケア確立に向け、医師主体であったり行政主体で、色々な取り組みがなされています。函館市にも人口の推移・ニーズを考慮した上で、函館市独自の指針を示していただければ、と考えています。 特に認知症高齢者の方の対応に関しては、函館市のみならず、北斗市、七飯町とも連携を強化していかなければ、対応は困難なのではないかと考えております。 また、例えば和光市では「これだけの施設を作ると今後の介護保険料をこれだけ上げていく必要があります」などわかりやすい説明がされているんです。こうした市民に細かな情報を公開した手法は非常に共感がもてますし、函館市にも是非、取り入れていただきたいと思います。 また、施設整備に関しては、本当のニーズを見極めてほしいということがあります。特別養護老人ホームの待機者という部分で見てみると待機者は300~500人と見積もられていますが、一人で複数の施設に申し込みができることもあって、ふたを開けてみたらずっと少なかったりするんです。施設に入ることを近い将来ということで考えてはいるけれど、今ではない、もう少し頑張ってみるという方も多いです。申し込みの600人を精査したら、300人はまず名前だけで、ということもあるそうです。現在待機とされている方たちは、施設に入りたくても、医療面で重度だったり、施設で対応して頂けない方たちの存在も少なくないと思います。
いきいき:まだ身体が健康だからご自身で生活されたいということなんですね。
中村さん:本当はやっぱり家に居たいっていうのが基本なんです。でも、いつかはお世話にならなければいけないというのも確かな話なんです。そこのところばっかり行政で取り入れてしまっているから、結局足りないんでしょ?不足してるんでしょ?となるんです。実際は何も不足はしていないんですよ。ましてや今、サービス付き高齢者向け住宅も出来てきていますからね。
いきいき:色々考えることが多く大変かと思いますが、プライベートでの息抜きはいかが過ごされていますか?
中村さん:そうですねぇ、私はアクティビティーに欠けるところがありまして、ゴルフもしないし、釣りもしばらく行ってないですし、あまり趣味的なものはないんです。筋肉トレーニングをする機械はあるんですけどね。 で、あとは共稼ぎなものですから、ご飯を作ったりですかね。晩酌は毎日必ずしますし。 あと好きなものは韓国ドラマですね。9時位にはお布団に入って、11時ごろまで観て寝るという感じです。
いきいき:録画貯めしたものを観ながらという感じですか?
中村さん:いや、これが違うんです。今流行りのネットで見るんですけど、あれも馬鹿にならないですよ。1話100円なんですが、韓国ドラマとかって84話とか102話とかあるんです。ですから毎月10,000円から15,000円とか掛かってしまいますね。
いきいき:晩酌しながらだとお酒の勢いとかも手伝って…
中村さん:本当に…お金がかかるなぁと思いながら、それが楽しみですね…
いきいき:その晩酌と韓国ドラマを観るのがストレスの発散や毎日の楽しみのような感じなんですね。 たまには運動もなさってくださいね。 因みに、その運動器具というのはどのような物なんですか?
中村さん:バネの付いた腹筋をする機械です。今では軽く30回くらいはできるようになりました。

取材者自身もたくさん勉強させていただきました!
中村さん、お忙しい中ありがとうございました。

中村清秋

居宅介護支援事業所連絡協議会 会長 有限会社スイートホーム 代表取締役
指定居宅介護支援事業所ひなたぼっこ 管理者
通所介護支援事業所ひなたぼっこ 管理者
函館市デイサービス訪問入浴連絡協議会 監事

中村清秋

檜山郡江差町出身、札幌の大学を中退後、全国展開の某ファーストフード企業に入社。各所店舗での業務を経験し、ススキノ店店長を務めるのを最後に同社を退職。函館に戻り、老人ホームの夜間警備員を務める中、上司のすすめで福祉の世界に転身。現在は介護保険事業社の代表取締役、同時に関連協議会等の役員も兼任する。プライベートでは晩酌と韓国ドラマ鑑賞、ネット囲碁を楽しみ、心身ともにリフレッシュし鋭気を養っておられる様子。

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