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インタビュー
高齢者の方にとっての理想と施設介護 前編
今回は株式会社あんじゅうで、常務取締役としてご活躍されている波並さんにお話を伺いました。
- いきいき:普段のお仕事としてはどのような事をなさっているのでしょうか?
- 波並さん:私は「株式会社あんじゅう」の役員として、会社の経営に関わる仕事と、「介護付有料老人ホーム・デイサービスセンターあんじゅう七重浜」の施設長として、現場の管理や相談援助など直接利用者に関わる仕事と、経営と運営の両方を行わせて頂いております。
- いきいき:直接、入居者の方と接することで楽しかった事や辛かった事など、エピソードがあると思うのですが。
- 波並さん:年々担う役割が変わってきていますが、そのステージ毎に考え方と言うか、価値観なども変化してきています。 ですが、共通して言えることは”課題を感じたとき”、そこに向かって努力をしていって、その結果、ご利用者様の笑顔が見られたり、辛い思いをしていたご利用者様がすこし楽になった時など、一定の成果を得られた時というのはやっぱりとても嬉しいですね。 私は認知症の方に関わる色々な取り組みをさせて頂いているのですが、やっぱり認知症ケアはこれからの介護の中心だと思います。このケアがしっかりできないと、介護の仕事はできないと言っても過言ではないと思っています。 例えば認知症の方を支援していく中で、色々と困難が生じたとき、認知症の方の思いをしっかりと共有し、適切にアプローチしていった結果、認知症の方は穏やかに生活していけたりすると、これ以上の喜びはないです。
- いきいき:この業界に入られたきっかけは何だったのでしょうか?
- 波並さん:普通であれば、”介護の仕事に興味があって!”とかなんでしょうが、そうではなくて、実は小さい頃は教員を目指していたんです。勉強が好きだった訳ではなく、子供たちにサッカーを教えたくて。 小さい頃からサッカーをやってまして、進学をしていく中でサッカーで声をかけて貰ったりして高校まで進んだんですが、サッカーでこれ以上進んでいくのは難しいと思うようになりました。教員を目指すというのも頭にはあったんですが、その時は福祉と言う言葉が出てきた頃で、私自身行き詰っていたこともあって、何となくその業種に進んでみようかなと思いました。 それから札幌の専門学校に通いまして、もちろん何もわからないままですが。 ただ、就職してからはこの業界に骨を埋めようと思いましたし、今もその流れでずーっと福祉の仕事しかしていません。
- いきいき:サッカーで培われた体力もそうですし、教員を目指してらっしゃったという事で説明する力とか今に活かされているのでしょうか。
- 波並さん:いやー(苦笑)、教員を目指していたのは小さい頃だったので。でもスポーツで培った体力だとか協調性だとか、そういった部分は福祉にかなり通じると思っています。 福祉の仕事もチームワークが重要ですし、体力勝負なところもありますしね。 介護の現場でも、相談業務などでも、やはり体力とか瞬発力みたいなものはとても重要ですしね。 そこは”サッカーをやってきてよかったな”と思います。
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- いきいき:では、学校を卒業されてからは、ずっと「あんじゅう」さんで勤務されていたのでしょうか?
- 波並さん:いえ、専門学校を卒業してからは「老人介護支援センターももハウス」という所で4年間在宅高齢者の相談援助をしていたんです。 現在の自分の考え方を形成する基礎的なものがその4年間にあって、住み慣れた自宅、地域で暮らし続けることの意味を、その4年間で考えることができました。 それを踏まえて、この「あんじゅう」を立ち上げる所から関わらせて頂いて、現在は”住み慣れた自宅で暮らし続けることができない方々”のための介護付有料老人ホームを運営しております。 私は基礎となっている4年間があるものですから、多くの方々は「できれば住み慣れた自宅で暮らし続けたい」と願っており、高齢者の方々の理想の暮らしはやはり自宅にこそ存在すると思っています。 しかし、それが何らかの事情で継続できない方がいらっしゃるのも事実で、そういう方々があんじゅうに入居された際に、”ここ(あんじゅう)での生活も悪くはないな。ここ(あんじゅう)での人生も悪くはなかったな。”と思って頂くことがゴールなんだと思っています。在宅で支援した経験しかなければ、きっとここでの生活を一番にしようと思ってしまったと思うんですよ。 でも、在宅で勉強させて頂いた事で、決して在宅を上回ることはできないと言う事をしっかりと頭に置いておく事がとても重要で、後は答えは在宅にしかないので、施設をいかに在宅に近付けていくかが大きな課題だと思っています。
- いきいき:勤務以外の主な活動はどういったものでしょうか?
- 波並さん:出身地は函館なんですけども、今は住居も職場も北斗市に移し、北斗市を中心に活動しているのですが、函館の福祉介護系の団体にも所属しています。主な活動としては介護支援専門員の資格を持っているのですが、「北斗市介護支援専門員協会」の事務局長を4年ほど勤めていて、研修会の企画・開催などを行っております。その他に「すみれの会」という北斗市の認知症の人と家族の会の理事を務めさせて頂いております。この会は認知症の方を介護されている方のストレスマネージメントなどを目的にしています。あとは、「北斗メイト」という認知症サポーターを養成する団体の副代表をさせて頂いております。デイサービスセンターにおいて、函館市には「デイサービスセンター連絡協議会」という横のつながりを深める目的の団体があるのですが、北斗市にはそういった団体が今までありませんでした。そこで昨年(平成25年)の11月に北斗市のデイサービスセンターの職員同士、横のつながりを深めようという目的で、「デイの明日を考える会」という団体を設立し、現在代表を務めております。
- いきいき:その団体は波並さんが立ち上げられたのですね。
- 波並さん:そうですね。 この団体に関しては私が立ち上げて、現在運営しております。定期的に顔を合わせて一緒に勉強していく等の活動をしております。 今もまた11月に介護保険の制度が変わるのですが、その為に札幌から講師をお呼びしまして勉強会を企画しております。
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次回は引き続き波並さんに介護業界の現状などについてお伺いしたいと思います。
ケア☆カフェはこだて 実行委員長
株式会社あんじゅう 常務取締役
北斗市介護支援専門員協会 事務局長
ほくと市認知症の人と家族の会 理事
北斗市キャラバンメイトネットワーク 副代表他
波並 孝
株式会社あんじゅうにて、常務取締役として勤務。 函館にて生まれ、小さい頃から目指していた教職とサッカーに打ち込んでいたが、時代の流れから福祉関係に興味をもち、札幌の専門学校に通う。卒業後「老人介護支援センターももハウス」にて4年間勤務ののち、「あんじゅう」立ち上げの時にお声をいただき、現在に至る。在宅の経験を活かし経営と運営の両面にてご活躍中。
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