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インタビュー
頂上のない山を登る人 受け継ぐ人<前編>
今回はテーオーケアサービス、管理者の秋野航太さんにお話を伺いました。
- いきいき:早速ですが、普段のお仕事の内容を教えてください。
- 秋野さん:当事業所と契約いただいている高齢者に対するケアマネジャーとしてのお仕事がメインになります。具体的には介護保険をご利用中で、私が担当させていただく方を定期的に訪問して、生活状況、介護保険サービスの利用状況の確認や、相談いただければ「介護保険のサービスで〇〇のお手伝いはできますよ」など、ご紹介をしています。あとは実際にサービスを利用する方へのサービス調整や、先方の事業所との契約までのお手伝いなどがメインです。
その他は新規申請と言って、まだ介護保険を使っていない方のご相談を受けたりします。その時は地域の包括センターと連動しながら新規申請をこちらでお手伝いすることもありますし、それに伴う介護保険のご説明などがあります。 - いきいき:直接こちらにご相談に来られる場合もあるんですね。
- 秋野さん:デイサービス併設の事務所なので「こちらのデイサービスを利用したいんだけれども、どうしたらいいですか?」と言うご相談は年に1~2件あります。
- いきいき:国道沿いに大きな看板がありますから目立ちますね。
- 秋野さん:実際に利用されてる方から評判を聞いて利用したいと言ってくださる方もいらっしゃいます。
- いきいき:相談に来られるのは、ご本人さんですか。
- 秋野さん:こちらに来られるのはご本人様よりご家族の方ですね。お一人で生活されてる場合は包括センターがもちろん把握していますから、包括センターでやっていただいていると思います。私たちが1件1件ご家庭をまわって把握するのはなかなか難しいです。
- いきいき:包括センターとの協力のもと、成り立っているのですね。その他どのようなお仕事になりますか。
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- 秋野さん:居宅介護支援事業所の管理者もしています。私を入れて5人のケアマネジャーがいますので、みんなで力を合わせてお仕事しています。また、立場上管理者なので、他のケアマネジャーさんから相談を受けた場合は、私の答えられる範囲でお答えします。
- いきいき:介護保険制度が施行されてからしばらく経ちました。利用者さんからのご意見、ご感想はありますか。
- 秋野さん:今の高齢者の方々は大変な時代を過ごされていますよね。戦中戦後の時代を生きてこられましたから、人にお手伝いをしてもらうのは「申し訳ない」って言う表現をされる方がたくさんいらっしゃいます。その中で、ギブアンドテイクではないですが、「私たちが施しをしているわけではない」とお話をするんですけど、ある程度理解を示してくださる方もいらっしゃいます。その反面「ちょっとかゆいところに手が届かないんだよ」とお話しされる方もいらっしゃいます。
例えばヘルパーさんであれば、「ここは掃除できるけれどここはだめだよ」や「ここは雪かきするけれど、ここはできないよ」など、私たちは制度の中で仕事をしているので、なかなかそれを飛びこしてできないんです。まだ完全に利用者さんを支えられる制度ではないですよね。それらの面で地域のボランティアや、ご近所さん付き合いが今まであったんですが、だんだん希薄になってきましたよね。そういった意味でももう一度濃くして行く必要があると思っています。 - いきいき:本当にご近所付き合いが希薄になった感じがします。昔は隣やもう一軒隣のお家でも何かあったときにはすぐに情報が入ってきていたものが、今ではわからないですよね。
- 秋野さん:「プライバシー保護」といいますけど、なんでもかんでもと言うわけにはいかないです。私が子どもの頃は家族構成から何から何まで知られていましたけどね。
- いきいき:仕事以外では、どの様な活動をされていますか。
- 秋野さん:昨年度は松野会長や渡辺副会長がいらっしゃるケアマネジャーネットワーク函館の理事を任せていただき、ケアマネジャー向けの研修の企画や運営をお手伝いさせていただいています。その他には案内が来た研修に予定が合えば参加する感じですね。
北海道介護支援専門員委員会と言う大きな団体が主催している実地動向型研修に参加しました。これは、社外の比較的経験が浅いケアマネジャーと、主任ケアマネジャーとがペアになってお互いの利用者さんの所へ一緒に訪問して必要なアドバイスをすると言う研修で、札幌に行って指導のための研修を受けて、地元へ戻って他社のケアマネジャーさんと4回位お互いの利用者さんのところを行ったり来たりして最後にセッションをしてアドバイスさせてもらったりしました。函館からの参加は4名でしたが、アドバイザー役としてお手伝いさせていただきました。 - いきいき:日頃お付き合いのあるケアマネジャ-さんの見落としがちな視点や発見がありそうですね。
- 秋野さん:もちろんそれも期待されているでしょうけど、メインは私たちのように4人も5人もいる事業所もあれば、研修や他の方からのアドバイスを貰う機会がなかなか少ない、お一人で運営されている事業所も結構ありまして、国としてもOJT(実地訓練)的なイメージでできる制度をこれからやっていきたいということで、モデル事業の一環としてやっています。
実は以前、アドバイスを受ける立場でこの研修を受講していました。今回はそれなりに年数も経ったので「アドバイスをする立場で研修を受けてみない?」とお誘いを受けたので力不足ながら参加してきました。 - いきいき:なんだか新鮮な感じがしますね。
- 秋野さん:そうですね。本当にお互い初めてですし、そこそこ緊張するんですが、自分の担当する利用者さんに他のケアマネジャーさんが来ると、ものすごく緊張しますね。利用者さんも「あれ、普段とちがうね。」みたいな感じになります。
まだ制度としては確立していないんですけど、どの様に運営していくか、国でも試行錯誤している段階だと思います。今後は正式な制度として、ケアマネジャーの試験に合格した方に、この研修を受けてもらってはどうかという動きは出て来ているみたいです。 - いきいき:以前に私共がインタビューさせていただいた中にも、お一人で事務所を運営されている方もいらっしゃいました。研修などになかなか参加できなくて他の方の意見などが聞けないので何とかしたいと思っているとお話になった方もいらっしゃいました。
- 秋野さん:試験に合格して、はじめてケアマネジャーをやって、一人で事務所を開かれる方もたくさんいらっしゃいます。そうなると右も左も分からなくなった時に聞くに聞けないと言うことは少なからずあると耳にします。
まだまだ足りない部分はありますが、うまく制度にもっていってもらえれば、これらの研修を繰り返すことで主任ケアマネジャーにも、アドバイス受ける方々にも力になっていくと思います。 - いきいき:この業界で働くことになった経緯を教えていただけますか。
- 秋野さん:実は介護業界に関わったのは私がケアマネジャーの資格を取ってからなんです。始めての介護業界がいきなりケアマネジャーなんです。
もともと、私の地元は小樽なんですが、児童養護施設のボランティアを学生の頃やっていて、児童養護施設に勤めたいなと思っていました。保育士の資格が欲しくて学校に行ったんですけど、その中で福祉も少しかじっていたんです。
当時は就職氷河期といわれていて、なかなか狭き門で児童養護施設への就職枠がありませんでした。それでたまたま実習で知的障がいの施設に何回かお邪魔していたので、視点を変えて障がい者施設に勤め始めました。
その後、高齢の方が徐々に増えてきたのをきっかけに、当時は知的障がいの施設でもケアマネジャーの試験は受けられたので、介護の資格を取ってみようと思ったんです。合格してせっかく資格も取ったから介護業界に入ってみようと、ケアマネジャーをやってみようと思いました。
以前住んでいた古平から、なんとなく暖かい地域で暮らしたいなと思っていて道南の方に流れてきたんです。最初は森町だったんですけど、徐々に徐々に南へ移動して、その後は北斗市で、今は函館です。でも海を渡る気はないので、ここで最後だと思いますけどね。最初は右も左もわからなかったので今思えばよく決断したなと思いますね。 - いきいき:実際にケアマネジャーのお仕事を始められて、どの様に感じましたか。
- 秋野さん:やりがいを感じつつ、確実に学生時代よりも勉強してます。制度変更に対応するための勉強もありますが、もっと自分のスキルを充実させるためでもあります。それをフォローするため勉強や研修で、確実に日々勉強だなと思います。
- いきいき:介護保険制度も頻繁に改正されますから、それを追いかけるだけでも大変ですよね。
- 秋野さん:そうですね。前の解釈を変えるということもありますし、分かっていないと結果的に利用者さんに迷惑をかけてしまいますので。私が困る分には全然かまわないですけど。利用者さんを困らせるわけにはいきませんから。知識はずっと身に付けて行かなければならないと思います。
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次回は引き続き秋野さんに、この業界で気になることや今後の展望をお聞きしました。
テーオーケアサービス
管理者・主任介護支援専門員(社会福祉士)/
秋野航太
小樽生まれ、小樽育ち。現在テーオーケアサービスの管理者・主任介護支援専門員を務める。
学生時代に行っていた児童養護施設のボランティアがきっかけで、保育や福祉について学習する。その後、障がい者施設に勤めながらケアマネジャーの資格を取得し介護業界に入る。現在は、地域にお住まいの高齢者に対するケアマネジャーとして働く傍ら、介護業界の未来を考え、実地動向型研修等さまざまな活動に参加し、日々ご活躍中。
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